このままでは終われない。ベガルタ仙台は苦しい状況にあるが、這い上がらなければいけない。ホーム・ユアテックスタジアム仙台に声援が戻ってくるこの日を、その再び這い上がる一歩目の日にしたい。明治安田生命J2リーグ戦3連敗で首位からの勝点差を広げられたところから、また這い上がるための日に。
今節の相手である水戸は、J2屈指の攻撃性を有するチームだ。ボールを奪えば一気に多くの選手が前を向き、高い位置を取って総攻撃に出る。中盤のMF16前田椋介と途中加入のMF5安永玲央はともに効果的なパスを打ちこめる選手で、安永が全体のバランスを取りながらボールを奪って、前田とともにパスを展開。チームの攻撃はここでさらに加速する。MF14椿直起のドリブルやMF7曽根田穣のギャップを突く動きなどしかけの種類も豊富で、フィニッシュでは足下でのシュートセンスが光るFW15木下康介や強引にでもゴールに突き進むFW9安藤瑞季が怖い存在だ。
このような対戦で、仙台が受け身になってしまえば、相手の勢いに飲まれてしまう。逆に仙台が攻めの姿勢をプレーで表現し続ければ、その攻撃の良さを取り戻すだけでなく、今まで以上の勢いで相手を突き崩すことができるはずだ。自分たちの培ってきたものを信じて、この試合にのぞみたい。
まず仙台は、チームに勢いをもたらすための走りを取り戻したい。ここ2節は前への推進力を欠いたところが攻守とも見られており、仕切り直すためにはチャレンジの一歩目も、サポートの二歩目も必要。前節・千葉戦後に、FW44中島元彦は「前線も、自分たち(中盤)も後ろも這い上がっていけているときはいい感じでできて、いい攻撃ができているので、もっと走る量を全員が増やせたらいいかたちが戻ってくる」と展望した。そのランニングの復活が勝負の鍵だ。GK1小畑裕馬を交えた攻撃の組み立て、DF20キムテヒョンらの強気の押し上げがチームを前進させ、MF35フォギーニョの前に出る守備と動き直し、DF41内田裕斗とDF25真瀬拓海の両サイドバックの攻撃参加も攻撃に厚みを生み出す。そして、チームトップの12得点をあげているFW9中山仁斗や10得点のFW42富樫敬真らのシュートで、何度も水戸ゴールをこじ開けたい。
シーズンも残り9試合。目の前の試合を勝ち続けるため、雑念を捨てて前を向こう。仙台には、質と量を伴った攻撃があるはずだ。その両面で相手を上回り、ラストスパートにつながる勝利を手にしよう。