負けないことも大事だが、負けた後に立ち上がることはもっと大事だ。ベガルタ仙台は明治安田生命J2リーグ第6節・町田戦で0-3という大差で敗れ、これが今季初黒星。ホームで痛い結果に終わったとはいえ、シーズンは始まったばかり。そして試合はすぐにやってくる。中三日で迎える今節は、再びホームで戦える機会に恵まれた。ホームでの悔しさは、ホームで晴らそう。
2022シーズンで初めてのナイトゲームとなる今節の対戦相手は、大分。昨季のJ1第36節で降格が決まったところは仙台と同じだが、大分は最終節を勝利してリーグ戦を締めくくり、その後に勝ち進んだ天皇杯でも準優勝という結果を出した。J2で戦う今季、その実力はリーグでトップクラスといえる。
大分は、片野坂知宏前監督(現G大阪監督)を代表とした歴代監督が長年培ってきた攻撃的スタイルが持ち味。多彩なパスワークで、多人数が相手陣内に攻めこむ。後方のポジションの選手も機を見つければどんどん攻め上がって攻撃に厚みを加えることが特徴的で、現在仙台に在籍するDF3福森直也やDF5若狭大志も、大分でプレーを磨いた経験を持つ。今季から指揮を執る下平隆宏監督のもとでも組織的な攻撃のベースは引き継がれており、複数のシステムを使い分けてチームを発展させているところだ。
大分はJリーグYBCルヴァンカップと並行してリーグ戦を戦っていることもあって、短い間隔で公式戦を戦うタフな日程の中にある。なかなか結果が出せないでいたが、J2第6節・琉球戦で待望の今季初勝利。しかも大量4点を取っての白星ということで、勢いをつけて仙台に乗りこんでくる。
MF11下田北斗やMF8町田也真人のようなパス能力の高い選手もいれば、パワフルなドリブルが得意なMF25小林成豪やMF39増山朝陽もいる。前線ではセンターFWのFW33呉屋大翔や高さが武器のFW20長沢駿がおり、最終ラインからMF31ペレイラも駆け上がる。
こうした選手たちが組み合わさった攻撃に勢いを与えないためにも、仙台は出足鋭い守備で相手のパスワークを断ちきりたい。おさえるべきポイントを明確化して迷いなくプレッシャーをかけ、同じく迷いなく前へ出て、仙台の方のパスコースを増やしたい。MF35フォギーニョやDF25真瀬拓海の推進力を生かし、相手が守備隊形を作る前にボールを動かすことで、仙台はチャンスを増やす。準備期間は短いが、前への意識を徹底させるためのトレーニングの成果を、このホームで発揮するときだ。前節に途中出場でドリブルやスルーパスによってサポーターを沸かせたMF32鎌田大夢のようなニューヒーロー候補にも、チャンスが来るかもしれない。
試練は続くが、それを乗り越えた勝利の味は格別だ。苦しい時期もサポーターと共に闘い、大分ゴールへ突き進んで、勝点3を手にしよう。