明治安田生命J2リーグ第5節・山形戦後に、その試合で先制点を決めたMF18氣田亮真は手応えを口にした。「内容的に少しずつですけれども良くなっています。それでも、もっとレベルを上げないと。大事な時期でこれができるように」。ベガルタ仙台は前々節・岩手戦で今季ホーム初勝利をあげ、前節・山形戦では今季初の連勝を記録。調子を上げて、この試合に臨む。
氣田の言う「大事な時期」のひとつが、この町田戦ともいえる。町田は前節こそ無敗チーム同士の対戦に敗れたものの、3勝1分1敗の勝点10で4位。就任3年目となるランコポポヴィッチ監督のもとで積み上げてきたスタイルが熟成し、安定した強さを発揮しているチームだ。
町田はベースに高い位置でのボール奪取からしかけるカウンター攻撃があり、そこにボール保持時の戦い方などを加えて戦術の幅を広げている。たとえ深い位置に攻め入られてもDF5深津康太とDF17高橋祥平という熟練のセンターバックが跳ね返すなど、守備にも厚みを増している。そして、ボランチのMF8髙江麗央や2列目のMF10平戸太貴といった配球役が縦横にボールを動かし、パワフルなFW9鄭大世や素早いFW28太田修介といった攻撃陣が仕上げる。JFA・Jリーグ特別指定選手ながら既にゴールなど活躍する、FW37平河悠のようなニューヒーローも生まれている。
仙台としては、ここ2試合連続3得点と調子を上げてきた攻撃が、シュートで完結し、うまくいかなくてもセットプレーをもぎ取れるような流れを多く作りたい。組み立ての最中に引っかけられてカウンターをしかけられないのが理想だが、たとえ取られても奪い返し、相手の攻撃をスピードアップさせない攻撃で“押し切る”ことを目指したい。
氣田やMF28名倉巧の突破、MF50遠藤康のキープからのキラーパス、FW9中山仁斗の多彩なフィニッシュなど、仙台の武器は多い。ボールを動かすためのポジショニングや、味方の立ち位置を把握するための視野、パスを通すための技術は、日々の練習で少しずつ磨かれている。それをチームとしての攻撃のかたちに繋げることが大事だ。町田の強烈なプレッシャーを受けたとしても、仙台は最後尾から前線まで、恐れずにボールを動かせるポジションを取り、相手陣内にボールを運びたい。奪われたら、奪い返し、流れを自分たちのものにする。サポーターの心強い後押しを受けるこのホームで、相手にカウンターの機を与えないくらい押し切る攻撃を披露し、勝利をつかみたい一戦だ。