長かった2024シーズンの明治安田J2リーグ戦最終節を、ベガルタ仙台はホーム・ユアテックスタジアム仙台で迎えることができる。リーグ戦としては最後の試合だが、締めくくるにはまだ早い。今節はさらにその先のステージをつかみとるための試合でもある。J1昇格プレーオフ出場権を手におさめるため、このホームで結果を出さなければならない。
前節の仙台は、勝ってプレーオフ進出を決めたかったところだったが、1-3で敗れてその機会は今節に持ち越しとなった。FW7中島元彦は鮮やかに先制ゴールを決めたが逆転負けを喫したことで「チャンスを多く作れたのに決めきれなかったのは自分のせい」と反省したうえで、ホーム最終戦に向け「本当に力強い後押しがあるので、それを自分たちは無駄にせずに、一緒に戦って昇格プレーオフを勝ち取れるようにしたい」と前を向いた。DF22小出悠太も「失点シーンは反省ばかりだったが、しっかり振り返って次の試合でこの悔しさをすべて爆発させ、チームに貢献して勝ちたい」と必勝の構えだ。
仙台のプレーオフ進出条件はいくつかあるが、単純明快、勝てば自力で6位以内を決められる。そのためにも、中島が振り返った決定機での確実なフィニッシュや、小出の反省した危ない場面での相手への寄せについて可能な限り細かいところまで修正をはかったうえで、自分たちの強みを思い出したい。仙台が、この2024シーズンに磨いてきたものは何か。個人としての体力や技術のベースも、様々な局面に対応できる攻守の組織もそうだが、森山佳郎監督が何より強調してきたのは、攻守において「迫力を出すこと」。前節に隙を見せた場面で欠けていた迫力、守備のプレスの迫力、攻撃のランニングやシュートの迫力を、それぞれ人数をかけて表現することが必要となる。
相手の大分は、流動的なポジションチェンジで相手を攪乱する攻撃を得意としており、守備が綻びを見せたら確実に複数人で突いてくる。前に強いセンターバックのDF3デルランやDF31ペレイラは得点力も備えているし、ボランチのMF6弓場将輝や攻撃的MF10野村直輝もよく動いてスペースに食いこんでくる。
仙台はプレッシャーを強めることで、彼らのパスコースや、ポジションチェンジの進路をしっかり防いで逆襲に持ちこみたい。MF11郷家友太やMF14相良竜之介が高い位置での守備から一気に決定機まで持っていくこともできれば、MF10鎌田大夢が一度ボールを落ち着けて相手を動かすこともできる。シーズンを通して速攻も遅攻も磨いてきた仙台は、前への迫力を加えることでその攻撃の切れ味をさらに増すことができる。サポーターの後押しを受け、前へ進み、迫力を出して攻め抜くスタイルを期待したい。
仙台のカラーを全力で披露し、この一年の成長を示すことができれば、きっと望む結果をつかむことはできる。仙台の総力を結集し、燃えたぎるPASSIONとともに表現し、勝利を手にしよう。