明治安田J2リーグ戦も残すところあと5試合。この終盤戦にきてますます激しさを増すJ1昇格争いでは、3位から6位までのJ1昇格プレーオフ圏内を巡る戦いが特に熱い。ベガルタ仙台も、他のライバルたちも、ひとつの勝敗が順位に大きく影響する状態で、最後の最後まで気が抜けない。前節・山口戦で上位相手に決勝ゴールを決めたFW7中島元彦は「やることは変わらず、一人ひとりがその試合にすべてをかけることが大事」と終盤戦の戦いについて強調する。そのうえで、迎える今回のホームゲームについて「前回のホームゲームで最後に追いつかれてみんな悔しい気持ちでホームゲームを待っていると思うので、次はホームで勝ちを届けたい」と強く意気込んでいる。
その今回のホームゲームの相手は秋田。揺るぎないスタイルを持ち、上位をうかがう強敵だ。今シーズンの前回対戦だった、3月16日の明治安田J2リーグ第4節では、0-0の引き分けに終わった相手だ。秋田は吉田謙監督のもと、ハイボールに対する競り合いに始まり、ハイボールをゴールにねじこむフィニッシュに至る、空中戦の得意なチームだ。DF5河野貴志ら頑強なDF陣は自身が空中戦に強いだけでなく、迷わずロングフィードから味方の攻撃を始める存在でもある。その競り合いのこぼれ球を巡る戦いではMF6諸岡裕人やMF25藤山智史らが強さを発揮し、ポストやフィニッシュでは前線のFW40青木翔大らが確実に仕事をする。FW10小松蓮のように、この終盤戦で一気に調子を上げてきた選手もいる。ハイボールとその競り合いでの力強さが目立つスタイルに、仙台はどう対抗するかが問われる一戦だ。
フィジカル勝負は消耗も激しいが、まず今シーズンの仙台は長期的なフィジカルトレーニングの成果もあり、よく走り、よく戦うチームに成長している。秋田相手の真っ向勝負でも、引くことはない。最終ラインのDF5菅田真啓やDF22小出悠太、さらに前節・山口戦でセンターバックとして復帰したDF39石尾陸登といった選手達のパワーで、ぶつかり合いを制するところから仙台が主導権を握っていきたい。また、セカンドボールでの争いや、こちらのパスをつぶそうとする相手プレッシャーに対して、テクニックで対抗することも今の仙台にはできる。この終盤戦で調子を上げてきたMF10鎌田大夢がパスやドリブルで相手のプレッシャーをかわしたり、MF11郷家友太がゴール前のターンなどで相手を振り払ってシュートに持ちこんだりと、相手をいなす方法も身についてきた。
シビアな終盤戦では、前節・山口戦がそうだったように、自分達の思うように攻撃を組み立てられなかったとしても、要所で勝つためのプレーを選択して徹底できることが必要になってくる。今節は秋田のフィジカルと空中戦に苦しめられたとしても、それらを正面からのパワーで破るか、角度を変えていなすテクニックで攻略するか、仙台が勝つために選び取る方法にも注目したい。
そしてパワーでもテクニックでも、それらを最高の状態で発揮するには、PASSIONがエネルギーとして必要だ。ユアテックスタジアム仙台に集まる力を結集して、この試合を勝利しよう。