前節以上に、ベガルタ仙台は積極性をプレーに表さなければならない。ホーム・ユアテックスタジアムで迎えた明治安田J2リーグ第31節・藤枝戦では、仙台は守備での鋭さ、積極性を欠き、3失点を喫してしまった。攻撃では人数をかけて相手を崩すかたちから2点を奪ったが、森山佳郎監督は守備面の反省点の方を強調。「我々の中では『ない』失点の仕方をしてしまった」と、今シーズンのここまでに磨いてきた守備の強さが不足していたことを重く見た。まずは、本来発揮すべき守備強度、果敢に相手にチャレンジするポイントをはっきりさせ、そこに相手が来たのであれば全力でプレッシャーをかけ、カバーする選手も続きたい。DF32奥山政幸も「ミスを恐れずに前からいくことでチーム全体の良さが出ます。前へのエネルギーをもっと出したい」と言葉に力をこめた。
今節の相手である甲府は、堅い守備からの鋭利なカウンターが特徴だ。序盤戦は守備がなかなか安定していなかったが、シーズン途中で就任した大塚真司監督のもとで守備を整備し、ボール奪取位置が自陣深くであったとしても、素早いカウンターで一気に相手ゴールまで到達できるチームに再構築した。そのため、仙台が押しこんだとしても対人守備に秀でるMF21ヘナトアウグストを中心に粘り強く守って、ボールを奪って最終ラインの背後を狙ってくるだろう。MF10鳥海芳樹らが緩急をつけながらスペースを狙ってボールを動かし、MF51アダイウトンやFW99ピーターウタカのように単独でもゴール前に持っていきフィニッシュすることができる選手へとつなぐ。今シーズン途中加入のFW11マクーラも速さがあり、厄介だ。
仙台としては、相手のカウンターの起点を確実におさえたい。前節・藤枝戦でMF11郷家友太が決めたゴールのように、FW7中島元彦らの縦パスやポストプレーを組み合わせた連係から相手を押し切れればベスト。一度相手にボールをおさえられても、MF6松井蓮之を中心にカウンターへの一手目のパスを出される前にプレッシャーをかけてボールを奪い返したい。そしてカウンターをしかけられたとしても粘り強く食らいつき、DF13實藤友紀のカバーやDF5菅田真啓の守備でいち早くその攻撃をストップさせる。どの局面でも、素早くボール保持者に寄せる守備を取り戻し、仙台らしい迫力を身につけた機動力で、相手を追いかけ、また、相手のゴールに迫る必要がある。
シーズンの残り試合が少なくなるにつれ、1試合での勝点3の重みは増していく。郷家は前節の悔しい敗戦後、来たる試合に向け決意を強くした。「この時期にこの順位にいられるのだから、なんとしてもみんなでJ1に上がりたい。毎試合を決勝戦のつもりで、このホームで勝ちたい」。ユアテックスタジアム仙台に集まるPASSIONを機動力に変え、相手のゴールを何度でも攻め落として勝利しよう。